MFF流「ブレない企画」の作り方

written by @yuta yoshida

今回のイベントには企画メンバー10人前後、学生モデルが25人前後、計40人近いメンバーで行っています。

大人数で行う企画はみんなが同じ方向を向いていないと、無駄に仕事を重複したり、意見が割れてけんかしたり、コミュニケーションミスを連発したりとスタートする前からイベント破綻の可能性が濃厚です。

 

そこで、まずは企画のコンセプトを明確にする事。

「やる事」「やらない事」をはっきりさせて、コンセプトに合わないものは一切やらない ”ブレない企画” を作ろうという事になりました。

イベントの「核」となるコンセプトが曖昧だと、意見の違いを生み、語弊の種を作り、判断の基準が失われます。芯を作る作業は地味ですが、非常に大切です。

 

というわけで、今回はMFFの「企画コンセプトの作り方」の話です。

Webページにも”企画理念”という項目を用意していますが、そこには書いていない細かな内容についてです。

今回も長いですが、ウキウキしながら書いたので、頑張って読んでください(笑

「WHY」から始めよ!

プロジェクトで一番大事なことは何でしょうか?それは

  • 「なぜやるのか(WHY) 」
  • 「どうやるか(HOW)」
  • 「なにをやるか(WHAT)」

の順で考えることです。

これはサイモン・シネック著「WHYから始めよ!」という名著で提言されている考え方で、人間は「どんなすばらしい事をするか(WHAT)」よりも「なぜそれをする必要があるのか(WHY)」が明確な方が、共感しやすいということらしいです。これは納得ですね。

なぜファッションイベントをするのか(WHY)?

その理由は、毎年4月のキャンパスで新入生に聞かれる質問、

「島根ってどこで服を買うんですか?」

に集約されます。

人生で初めて島根を訪れた新入生ならこの質問はまだ「ただの疑問」になります、

しかし、飲食店でアルバイトをする友人が、観光客と思われる他県の大学生に聞かれた“質問”は違います。

「島根ってどこで服を買うんですか?(笑)」

 

残念ながら、こういう話は頻繁に耳にします。

「服は連休に地元に帰ったときにまとめ買いする」「島根で服を買うならSATY? 出雲?まで行く」

島大生なら誰しもが一度は言った事のあるフレーズのはずです(しかも笑い話として)。

ですが、服を扱っているお店、特に“小売店”は大学の回りだけでもかなりたくさんあります。むしろ、駅前でもないのにこんな狭い範囲に密集している場所もなかなかないのではないかと思うほどです。

 

「地元で買い物をするために、島根でバイトしてお金を貯める」

「ショッピングモールの大型ブランド店で服を買う」

それも良いかもしれませんが、すぐ近くに、こんなにも個性的なお店がたくさんあるのに、それは少しもったいない…

 

「お店があるのは知っているけど、入った事は一度も無い」

「お店があることさえも知らなかった」

 

“知らない”というのは“存在しない”と同義であると人間は判断するそうですが、すごく損をしています。

 

 

「松江にはこだわりを持ったお店がたくさんある」
「おしゃれな服はすぐ近くにある」

ということを発信するため。

 

サイモン・シネックの本を読まずとも、このイベントの発起人である高木が、一番初めに自分に話してくれた事がまさにWHYの回答でした。

 

実は、自分自身もこのWHYを聞いて、「面白いな。イベントニーズはありそう。」と直感で思い、このイベントを手伝う事を決めました。それほど明確で、魅力的な「なぜやるか(WHY)」であったと思います。

もうひとつの「なぜやるか?(WHY)」

僕が、高木のWHYにどうしても追加したかった事。

もう一つのWHYは「後輩に見せつけるため」でした。

 

「見せつける」というと嫌な響きですが、簡単に言うと、

「大学生でも、島大生でも、学生らしからぬ“面白い事”ができる」

という前例を作る事ことです。

 

はじめまして!&このブログで伝えたいことにも書きましたが、

MFFのイベントを見て、「自分も何かやりたい!!!」と思ってくれる学生が1人でもいたら、僕のWHYは大成功です。

そしてその学生が、自分たちと同じ失敗/苦労をしないために 今回のイベントで得た経験を、何らかの形で包み隠さずすべて開示し、一つの参考にしてほしいなぁと思っています。

 

「なぜやるのか(WHY) 」まとめ

▶ 松江のお店を紹介するため

▶ 学生の「やる気」を引き起こすため

 

「どうやるか(HOW)」

 

「なぜやるのか(WHY) 」が決まれば次は「どうやるか(HOW)」です。

 

ここでも具体的な方向性が必要です。

「誰もが楽しくて、おしゃれで、他のファションイベントよりもインパクトのあるものにする」みたいなのはHOWではありません。

何も言っていないも同然です。

 

そこで、なぜ島根ではファッションイベントがないのか?人が集まらないのか?

お店の場所は知っててもお店に入らないのはなぜか?

ファッションイベントは面白くないのか?

に対する理由を書き出しました。

 

場所は知っててもお店に入らないのはなぜか?

  •  商品が高い(高そう、というイメージ)
  •  おしゃれじゃない人は排除されそう(というイメージ)
  •  店員さんと話すことがない(話しかけられたら困る)
  • でも何が置いてあるのか気になる。一度は入ってみたい

なぜ(島根では)ファッションイベントがないのか?人が集まらないのか?

  •  「ファションイベント」というだけでお客さんを(暗黙に)限定しそう。(おしゃれにものすごく関心のある人だけが参加しそう)
  •  ファションイベントに参加するためのドレスコードが面倒くさい(入りにくそう)
  •  島根は「田舎」のイメージが定着しているからハードル高そう
  •  イベントをしても儲からない?
  •  出店するお店がない?(もしくは、それは真実なのか?)

 

「小売店に一度は入ってみたい」というニーズはちゃんと存在するようなので、これらのネガティブな理由を潰せば、「人の集まるイベントを作れるのではないか」「面白そうと思われる企画を作るための方針が立つのではないか」と考えました。

 

「どうやるか(HOW)」まとめ

▶ ファションイベントが行われない(できない)理由を探し、一つずつ潰す。

 

「何をやるか(WHAT)」

ここまで決まれば、「なにをやるか(WHAT)」は自ずと決まってきます。

 

今回は先にあげた「ファションイベントが行われない(できない)理由」を探し、一つずつ潰す、ということです。

 

まずは、多くの人が「一度は入ってみたい」というニーズは持っているが入れない、なので「入る」ための障壁を限りなく低くする方法を考えました。

 

 

①場所はくにびきメッセ

「おしゃれなレストラン」を貸し切った会場で開催とかではありません。くにびきメッセは、松江市民なら誰もが一度は入った事がある「知っている場所」なので心理的ハードルが低いはずです。また会場のドアも常にオープンな状態にして、出入りを自由にします。

この会場に服飾店舗の方も「出張店舗」としてブース形式で参加してもらいます。ただ衣装を展示してもうだけでも良いし、販売をしてもらってもかまわないというスタイルにしました。

こうして場所もコミュニケーション方法も障壁を低くすることで、イメージだけで小売店を敬遠していた人が、実際に小売店を知るための「気軽な最初の一歩」を作り出せるはずです。

 

 

②無料/ドレスコード無し/男女歓迎/一般の人も歓迎、というか誰でも歓迎

「無料/ ドレスコード無し」で「ちょっと見てみるだけでもいいかな/友達と行ってみようかな」と思える条件をつくります。

学生でも気軽に入れます。もちろん性別制限などは論外。

それでも、ファッションショーといえば「女性がメイン」というイメージがあります。そこで、ショーに使用する衣装の「半分」を男性モノにしました。

男性もちゃんとショーに関われるように、ファッションショーには珍しく男性の衣装比率をグッと高めてあります。

 

多くの人の小売店の印象は「イメージ」で固まっています。だって、一度も入った事がないので当然です。実際に見て、お店の人と話をして「本物のイメージ」を持ってもらう事が、このイベントの最大の成功かもしれません。

 

③メインコンテンツは「ファッションショー」!

WHYで決めた目的である<小売店の紹介>を達成するには

「フリーマーケット」「小売店情報紹介フリーペーパー作成」

などの選択肢もあげられますが、

 

  • 多くの人の興味を引いて、多くの人にお店を知ってもらうためのイベント
  • 学生に「自分も何かやりたい!」と思わせるイベント

 

にするためには「ファッションショー」の形式にするのが一番良いのではないか、となりました。

理由は、フリーマーケットは既に行われているし、類似のフリーペーパーも既に存在するからインパクトは小さいと思われたからです。

また、小売店という個人色の強いものを、よりわかりやすく紹介するには、フリーマーケットや冊子のように衣装を並べて見せるだけではなく、音楽やモデルを含めた、五感に訴えかける紹介の仕方が最も効果的で意味のある方法だと思いました。

 

モデルとなってもらうのももちろん(素人の)学生です。

「友達がでるから」ということで大学生の集客も見込めますし、なにより「かわいい女の子が出るイベント」は、女の人も興味を持て、言わずもがな、男はいかなる用事をキャンセルしてでも、死んででも見たいハズです。笑

蛇足ですが、「かわいい女の子を並べるショー」を”女性の消費物化”として毛嫌いする人もいますが、どんなに言葉を並べたところで、どんなに男が頑張ったところで女性の持つ「華やかさ」には勝てません。華のある女性のいるところには人が集まります。個人的にそれはすごくいいことだと思っています。

 

 

④ファッションコンセプトは「タウンユース」!

ファッションショーと聞くと華やかなパーティー用ドレス、みたいなのを想像し、「自分には縁がない」と思う人がたくさんいると思います。特に大学生ではドレスを着る機会なんてほぼ皆無です。

そこで、最も親しみのある「タウンユース」をファッションテーマとしました。タウンユースとは「ちょっと買い物行こう/学校行こう」という時のカジュアルな普段着の事です。誰もが「パーティードレス」よりは親しみがありますよね。

 

 

そして、もっとも大事な「何をやるか(WHAT)」は

“「なぜやるのか(WHY) 」「どうやるか(HOW)」で規定した戦略以外のことは一切やらない”

ということです。

 

一つの例として。

イベント準備中に、服飾店舗の方の紹介で「ネゴシックス呼べるよ」と言う話が持ち上がった事がありました。

 

ネゴシックスさんは、以前は芸人をされていた方でテレビの露出も結構あった方です。今は芸人ではなくアーティスト業をされています。

「学生の無名イベントに、テレビに出ていた人が呼べる!」という大きなチャンスではありましたが、お断りました。それは今回のWHYである、「服飾店舗を紹介する」に全く関係がなかったからです。

イベント準備が進むにつれ「アレもしたい、コレもしたい」となるのは当然です。明確なWHYがあると、「どこまでが企画に関係のあるコンテンツになるのか」が明確になり、ただの人が集まっただけのお祭りイベントとなって転ける可能性はグッと低くなるはずです。

 

補足

実は松江では「おしゃれマルシェ」という団体によりファッションショーが行われたことがあります。

<後日談ブログ> <ファッションショー動画>

リンク先を見てもらえればわかりますが、

非常に華やかで「THE・ファッションイベント」という感じです。めっちゃ素敵です。

 

この動画を見たときに思ったのは、「中途半端な事をやると笑われる」という事です。

おそらく、学生が行うこのイベントは、大成功しても大失敗しても「頑張ったね」と言ってもらえるでしょう。

「学生なので」失敗してもそこまで怒られない、

「学生なので」失敗しても”よい勉強になったね”と励ましてもらえるのでしょう。

 

しかしそれでは納得ができません。

 

「やるからには、”社会人がやったイベントの学生版まねごと(笑)”と言われないモノを作る」

これを目標にしました。

 

おしゃれマルシェさんのイベント動画を見て、非常にインスパイアされました。

「おしゃれマルシェイベントとは180度違うものを作ろう」という舵きりができたからです。

「同じコンセプトのものをやっても、物量で負ける」と思ったので、まったく別のベクトルのファッションショーを思い切って目指す事ができました。ある意味で、自分たちのコンセプトに付加的に自信をつける形になりました。「これしかない」という感じです。

まとめ

MFFの企画は

  • 「なぜやるのか(WHY) 」
  • 「どうやるか(HOW)」
  • 「なにをやるか(WHAT)」

を考え抜いて作りました。

テキストにするとスーパー長くなりますが、非常に大切な事なので第1回目のミーティングから時間を割いてメンバー全員にこの話をしました。

ノリで「ファッションショーしよう!!!」ではありませんよ!笑

 

メンバー全員が同じ方向を向いて動けるような「ブレない企画の作り方」

MFFはこのような考えで行われます。

 

ここまで書くと、何か味気ないコンセプトのような気もしますが、

高木は「服屋を回って人と話をすること」に楽しさを、

自分は「イベント作りを網羅的に体系化し、システム化すること」にやりがいを感じています。

企画メンバーもそれぞれに楽しさとやりがいを持って参加してくれているのだと思っています。

「ブレない企画」のエンジンはいろいろな人の「やりがい」や「楽しさ」を燃料に動いています。

written by @yuta yoshida

 


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